医療費明細書発行がこの4月から病院に原則義務化された。患者さんは病院にかかって会計をする際に、窓口で領収書と明細書を受け取る。これまでは何にどれくらいお金がかかっていたのか支払いをする患者側にははっきりしなかったが、これからはこの明細書を見ればよくわかる、医療の「見える化」なわけだ。医局に入るとH先生がソファに腰掛けて新聞を読んでいる。
「事務方が大変みたい。4月1日からの明細書発行準備やらなんやらで」
「明細書だけじゃなくて、そもそも診療報酬自体も改訂になるからね。明細書なんか出したら僕らも外来でうるさく言われるようになるよ」
H先生は新聞をたたみながら相手をしてくれる。
「うるさく言われるって、何を?患者さんから?」
「この検査は何ですか?どうしてこんなに高いんですか?この薬は何ですか?本当に必要だったんですか?前の病院ではこんな検査やりませんでした。別の病院ではこんなに治療代はかかりませんでした。」
「そんなこと言うかな?」
「もちろんすべて患者が、とは言わないよ。でも、自分がどんな治療を受けているのか知ることが患者の権利だし、それがかしこい患者だと思って実践している人がいるでしょう?そういう人が増える。」
「ジェネリックに変えてください、って言う人とか?」
「それも一つ。まぁ、実際権利と言われればその通りなんだから、それをどうこう言うつもりもないんだけど、さ・・・」
H先生お得意の嫌みっぽい物言いが始まった。でも私はH先生のこの嫌みっぽい言い方が嫌いではない。ある種の真実を斜め上から語るようなところがあるからだ。多くの人が見落とすような視点。
「何が問題でしょうか?私も確かに悪くはないと思うんですけど、でも実際に患者さんのためになるのかって言われると自信を持てないんですよ」
「何がいけないと思う?」
「まず、患者さんが自分の受けている治療を知る、という意味ではいいんですけど、じゃあ、なんのために知ろうとしているのか、ってところにひっかかるんですよ」
「チェックされているような気分でしょう?真田先生は私に何をやったのか?」
「そうそう。別に私たち医者は不必要な検査とか、不必要な薬を投与することなんかないんですよ。必要だと思うからやっているんであって。信頼してほしいじゃないですか、私のやっていることを。それを高い検査ならいやだとか、なんで必要なのか?とか言われると・・・」
「信頼関係が築けない・・・」
「そうか。そうなんですよ。痛くない腹を探られる感じ。患者の知る権利なんて言われると、そもそもその権利を我々が阻害していて、それを患者側が奪還しようとしているような、なんか、そんな戦っているような感じがするんですよ」
「○○しましょう、それがかしこい患者です、なんてプロモーションされると、我々医療側が何も知らない患者を欺していることが通常だ、っていう気分が蔓延するんだよ」
「病院で何をされたのか、患者の知る権利です。明細書をもらってちゃんとチェックしましょう!ってことですね」
「欺されているような気分の蔓延、こういうことは全く別の効果を医療の世界に及ぼす。僕たちの世界にはプラセボ、というものがある。なんの有効成分が入っていないような薬でも、治療薬だと思って服用すればちゃんと効果が出てしまう。信頼している医師に診てもらえば、それだけで症状の半分が直ってしまうような。病は気から・・・は本当だよ。この先生に見てもらえば必ず治る、そう信じ込ませる信頼関係が実は医療の上ではとても重要なんだよ。」
H先生は遠い目をする。
「医療情報の開示は、ある意味患者に自分の医療を、誰も信じずに自己管理させることでもある。病気の時は人間弱くなるんだよ。弱い時ほど、『もうおまかせしますからよろしくお願いします』って投げ出せる方が楽なんだよ。医者―患者の信頼関係できないような気分を蔓延させる制度が、本当に医療の質を上げるのかどうか、僕は疑問だね」
医師不足による医療崩壊が騒がれています。
海外から医師が送られてきているようですが どこまで信用出来ますか?信頼関係が築けなくなるような制度?も始まりましたし 医師の数にも限りがあります。今のうちに信頼関係の結べる医師を!
<今回の相談内容>
娘が2・3年前からコリン性蕁麻疹というものが出るようになり 夏になると汗をかかないせいで?体内に熱がこもり赤い湿疹と共にかゆみが出ていました。去年はホルモンのバランスも関係して学校でプールに入っても蕁麻疹が出てかゆみがひどく 始めの一回きりしか入りませんでした。お風呂も入るのをいやがり極力シャワーで過ごしていました。
なお相談結果はCYBER CLINIC(http://cyberclinic.jp/)にて公開しております。相談希望者はぜひ秋月便り(http://www.mag2.com/m/P0007478.html)ご購読ください。


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